「全力法人税」を使って法人税申告を行う

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こんにちは。えがきやLLC代表です。

9月末で年度末を迎えた弊社は,2期目の決算,および法人税申告を行いました。
昨年度に続いて2回目の決算業務ですが,非常にスムーズに進めることができました。
ポイントは,会計ソフトと法人税申告ソフトにありました。この記事は「マネーフォワード会計」による経理・決算と,「全力法人税会計」による申告書作成の流れを紹介します。

会社を設立したとき,すぐに「マネーフォワード会計」を会計ソフトとして採用しました。そして,取引の都度に仕訳を切り,毎月末に各勘定残高が資料・証憑と合うことを確認することで,ほぼ月次で「締め」を行っていました。業務内容が単純なミニマム法人だからできることです。こうしていると,年度末だからといって,特別な処理はあまり必要ありません。
マネーフォワード会計の「決算書」メニューから,必要な財務諸表を出力し内容を精査すると,あっさりと決算業務は完了しました。

次に決算内容に基づいて税務申告を行うわけですが,マネーフォワードは法人税申告の機能を持っておらず,代わりにNTTデータが提供する「達人シリーズ」へデータを連携するようになっています。マネーフォワードの利用契約には「法人税の達人」が含まれていないので,別途契約することになります。
「法人税の達人」ですが,一番安いLight Edition ダウンロード版でも年間利用料金が 24,700円と,弊社には,ちょっとお高い設定です。
では,すべての税務申告を手で作成するかというと,それはちょっと無理かなと。不慣れな税務申告なので,中途半端な制度理解では誤申告となる可能性があります。やはり,法人税申告ソフトを使いたい。

他に何かないものか探したところ日本ネクストの「全力法人税」がよさげです。ポイントは:

  • マネーフォワード会計と会計データが連携できる
  • e-Tax, eLTaxを通じた電子申告に対応している
  • ヘルプが充実
  • Mac(Safari)で完結 ※弊社にはこれが重要!
  • 達人シリーズよりも年間利用料金が安い

それぞれ,振り返ってみましょう。

マネーフォワード会計と会計データの連携ができる

決算処理が終わったマネーフォワード会計の会計データを「全力法人税」へインポートすることができます。手順は次の通りです:

1.マネーフォワード会計の「各種設定」-「勘定科目」を選び,勘定科目データをエクスポートします。

2.マネーフォワード会計の「各種設定」-「他社ソフトデータの移行」-[弥生会計] を選び,仕訳データをエクスポートします。
エクスポート時に 書式を「汎用形式」にすることと,「開始仕訳もエクスポート対象に含める」にチェックを入れます。

3.エクスポートした勘定科目データと仕訳データはMF会計のクラウドストレージに作成されます。「書類管理」-「ストレージ」からそれらのファイルをダウンロードし,それらのファイルを「全力法人税」にインポートします。

仮に会計システム上で決算の修正が必要となった場合,1. に戻ってやり直せばOKです。
詳しい手順は,「全力法人税」のヘルプに詳しく書かれているため,利用される場合はそちらを参照ください。

なお,勘定科目データのインポートは特に変更がなければ一度だけ行えばよいです。期中に新しい勘定科目が追加されていたり,計上先の勘定科目を変更するなどしない限り,改めてインポートする必要はありません。昨年度から変わりがなければ,1.は不要です。

会計データ連係に広く受け入れられている「弥生会計」のデータフォーマットを使うのが「上手な仕様だなぁ」と感じました。

また,全力法人税は申告書を印刷する機能,および電子申告データを作成する機能が制限された状態で無料で試用することができます。そして,年間使用料金を支払うことで,これらの機能が利用可能となります。

e-Tax, eLTAXに対応している

「全力法人税」は,e-Tax, eLTAXへの電子申告用データを作成することができます。国税,地方税の電子申告をしたいユーザにはとても便利です。

ヘルプが充実

「全力法人税」のほぼすべてのメニューや入力項目,ボタンにヘルプへのリンクが付いています。このヘルプの内容が秀逸で,単に操作方法を説明するだけでなく,入力項目の詳しい内容や背景となる税制度も丁寧に説明されています。これが非常に勉強になりました。

Mac(Safari)で完結

「全力法人税」は独自アプリではなく,Web上で完結するため Mac(Safari)で申告書作成までを完結することができました。税務関連ソフトは毎回,Mac非対応に泣かされるのですが,全力法人税はMacに優しい対応でした。

料金が安い

事業所が一カ所であれば,初年度 19,620円(事業所が一カ所である法人について,2023年11月12日時点 表示は外税),翌年以降 10,000円(2023年11月12日時点 表示は外税)と他ソフトに比べて安価な設定になっています。

「全力法人税」は,各種データの登録やインポート,データの入力までは無料で行うことができます。申告書の内容は画面上ですみずみまで確認することができ,訂正も自由に行うことができます。申告書の内容が完成し,最終的に申告書のPDFないし電子申告データを作るタイミングで料金が発生します。そのため,無料でとことん機能を試すことができるのです。

「全力法人税」の対象となる法人は:
・ 資本金等の額が一億円以下
・ 普通法人,一般社団法人,一般財団法人,公益社団法人,公益財団法人,NPO法人,人格のない社団
・ 事業税の収入割を申告する必要のない法人(電気・ガス供給業,保険業を営む法人には非対応)
・ 過去3年間平均の所得金額が15億円以下の法人(いわゆる適用除外事業者に該当しない法人)

※ グループ通算制度には非対応

年度末のワークフロー

「マネーフォワード会計」と「全力法人税」を使った年度末の決算業務のワークフローはだいたい次のようになります。

上図の青い破線部分,E-Tax および eLTAX 用のデータを作成し,それぞれ e-Tax, eLTAX(PCDesk) へインポートし,さらにマイナンバーカードを使った電子署名と送信を行うという手順を「全力電子申告」という Windows アプリを使うとわずかな操作で行うことができます。

全力電子申告は,Windows専用アプリのため Mac で処理を完結することができません。
また,全力電子申告を使う前に e-Tax, eLTAX の利用者IDの取得やパスワード設定,マイナンバーカードによる署名を行うための環境(カードリーダのインストールと設定)の用意,提出先の税務署や役所の指定などは予め完了していなければなりません。
逆に言うと,すでにe-Tax, eLTAXから申告データを署名・送信しているユーザであれば,煩わしいそれらのソフトの操作を覆い隠してわずかな操作(数回のクリックと署名用パスワードの入力)で置き換えることができますので,お薦めです。

実際に利用してみて

決算数値を扱う項目は,会計データを参照して自動的に計算,入力されるため手作業によるミスを防ぐことができました。

手で入力する必要がある項目の入力も合理化されており,すべての申告書を手で作成することに比べると大幅に省力化できました。
とはいえ,「似たようなちょっと違う項目」の入力を複数求められたりするのには閉口します。
ただし,主に国税と地方税の申告書の書式の違いのためなので,このソフトに罪はないです。
また,前年度から変更がなければ,前年度に入力した定性的なデータはそのまま残っているため,入力の必要はありませんでした。

煩わしかったのは,勘定科目内訳明細書の「有価証券」です。余資運用のためにETFの年度末の残高を説明する前年度繰越残高,年度内に売買した取引を一つずつ手で入力しなければならなかったことでした。このほか,法人名義の金融口座,固定資産台帳の内容など,仕訳から得られない情報は会計システムからデータのインポート,または手で入力する必要があります


今回は2期目の決算と税務申告を行いましたが,昨年度に比べると手順が分かっていたため,落ち着いて準備とチェックを行うことができました。会計システムに「マネーフォワード会計」を利用されているミニマム法人において,「全力法人税」は利用を検討する価値があると思います。

/えがきやLLC

(2024.10.08 全力電子申告について加筆)

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