福岡 中央区清川「福寿司」

酒と肴

こんにちは。「私」こと えがきやLLCのCEOです。

前職では、福岡市内に出張することが多く、一回の滞在もわりと長いものでした。仕事を終えて宿に帰ってもすることがない自分にとっては、自炊をさぼって外食することが唯一の楽しみでした。人が多い天神近辺よりも春吉、住吉、清川あたりの裏道になぜか気になる良い店を見つけて、足繁く通ったものです。

その中でも、週末のちょっとした贅沢として通わせてもらったのが、福岡市中央区の清川にある「福寿司」さんです。仕事で疲れていたり、落ち込んだときも、ここの寿司を食べながらご主人のトークを聞いているだけで元気をもらったものでした。それというのも、ここのご主人、どんな話題でもかならず打ち返してくる博識な方で、博多の郷土史や九州の古代史,時事ネタ,自動車ネタ,下世話なネタ(笑)まで、どのお客さんとも楽しくお話ししてくれます。
女将さんも自然体の柔らかい雰囲気の方で,気取るところがない気さくな方です。
カウンター席のご常連さんたちも皆さんも良い方ばかりで、出張者の自分も快く会話に混ぜていただきました。そして、ご常連の方々から、なかなか聞けないような珍しいご当地の話題をみやげ話として仕入れることができました。

聞けばいろいろな界隈の偉い方もご贔屓にしている名店なのですが、私ごときでも本当にリラックスしていられる雰囲気のよい寿司店です。

福寿司
〒810-0005 福岡県福岡市中央区清川2丁目9−3
092-531-3159
(※来店する場合,事前に電話して営業時間,休店日を確認の上,予約することをお薦めします)

以下,私個人の感想と考え方によるご紹介となります。
店,店主のお考えを代弁しているわけではないことをご承知おきください。

多くのレビューサイトで書かれている通り、福寿司さんは旬の美味しいネタを良心的な価格で安心して食べられる店です。食事として満足できるようにか、ネタも握りも少し大きめです。握りは特上と上の二種類が選べます。私はいつもお刺身をお任せでお願いして燗酒を飲み、最後に2貫ないし3貫の握りをいただいていました。

そんな大好きなお店に今回、一年半ぶりに行ってきました。
週末に開店直後に予約もとらずに伺ったところ、すでにお客さんがおり、席もほぼ予約が入っているそうです。運良くカウンターに一席をいただくことができました。

ご主人も奥様も店内の雰囲気も以前と何も変わりなく、ずいぶん久しぶりなのに私のことも覚えていただいてました。ご常連さんが穏やかで優しいのも相変わらずです。

早速、お刺身と燗酒をお願いしました。

一品目は、お通しに「ふぐかわ」です。



続いて、「マグロのなめろう」。甘しょっぱい味付けで、これもお酒がすすみます。



次は鯨のさえずり。とても新鮮で、ネギと生姜の薬味がなくても臭みなどない上品な味わいです。肉の味わいが深く、一気にお酒が進みます。ちょっとペースが早いので心配です。


次に「ふぐ」。昆布で2日ほどしめて落ち着かせているそうで、食感を楽しみながら噛み締めると旨味が味わえます。この段階で2合くらい飲んでいますが、酢の物を間に入れてくれるおかげで、飲み過ぎた感じもなくスッキリしていました。



続いて「サワラの焼き物」です。あれ、刺身しか頼んでないけど?という顔したら、「久しぶりだから九州の魚を食べてよ」と、ご主人。こういうことされるから、通ってしまうんです。身はみずみずしくフワッとしており、味付けも抜群です。ひたすら黙って夢中で食べました。この時点で三合くらい飲んでいましたが、熱燗をもう一合頼んでしまいました。

続いて赤貝の酢の物。キュウリと三杯酢の清涼感が口の中を洗い流して,次の一盃を誘います。


最後に「縁側」です。ほどよく甘い脂としっかりした食感が楽しめました。

店主には、勤めいた会社を辞めて、全国の酒と食の文化を調査して情報発信する会社を作ったことなど、前回の来福以降の事情をアップデートしました。「今日は仕事として取材しにきました」というと、「そんな事業内容でよく定款が認められた」と笑われました。

酔いもまわりましたが、やはり握りを食べたいので2貫ほどおまかせでお願いしました。ふわふわのあなごの握りと、柑橘と塩で味付けしたふぐの握りをいただきました。(かなり酔っており、写真を撮るのを忘れていました。どちらも美味しかったので、残念。)

*****

ここ清川は、以前は色街であったことから、周辺にはその名残となる柳や春といった文字を使った地名が残っています。もともと遊廓は、江戸時代まで博多の下呉服町あたりにありましたが、明治に福岡医学学校(現在の九大医学部)が同地に設立されることになり、遊郭が清川へ移転することになったそうです。大学設立のために、この移転に尽力した渡辺興八郎氏は、他にも博多電気軌道株式会社を設立するなど、福岡の商業の隆盛のために働いたにもかかわらず生前より自分の名前を表に出すことをよしとしない方であったそうです。46歳で急死した故人を偲び、同社が通りの名前に渡辺の名をつけて呼んだそうです。これが現在の「渡辺通」の由来です。こうした話題も,同店の会話の中で教えていただいたものです。

えがきやLLC
CEO

(2023.11.28 追記)
本ブログ記事に「福寿司 閉店」の検索キーワードから来ていただいた方々が散見されます。
2023年11月に「福寿司」さんを再訪いたしまして,ご主人,女将さん他,皆さんお元気で営業されていることを確認いたしました。ただ,人気店ですので電話での予約をお薦めいたします。

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